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貸し借りのデータすべてを登録している消費者金融系情報機関

故青木雄二氏の大ヒットまんが『ナニワ金融道』のなかで、よく街金の男が電話で新規顧客の審査を確認して、どれくらいの借入れをしているかをチェックしていましたが、あの場面で問い合せていたのが全情連の情報です。消費者金融業者にとって、対面与信で審査するのも1つですが、融資の可否を決める決定打になるのはこの情報なのです。ところが、このデータベースの精度が素晴らしく高いことから、逆にさまざまな問題を起こすようになっています。問題といっても、データ内容ではなく、精度の高いそのインフラそのものです。

それを、貸金業者以外の外部の人たちがほしがり出したのです。最近は聞かなくなりましたが、少し前まで、警察官、自衛隊や旧大蔵省の役人、銀行マンといった体面と信用を重視する職業の人たちが、サラ金に手を出していないか(業界用語では「つまむ」という)をチェックするために、それぞれの組織の意を受けた人たちが、あの手この手で「全情連」に潜り込み、その情報の一部を横流ししていたともいわれています(実際に事件にまで発展したことが何度もありました)。全情連に加入して消費者金融の情報を検索するには、貸金業者になって登録すればよいだけでしたから、いろいろなダミー会社をつくって、そこから発注者たちに情報を流していたといわれています。

最近では、情報漏れを恐れた全情連側か審査を厳しくしましたから、そうした不正行為はできなくなりました。それほど、この消費者金融業者の情報は精度が高く、価値のあるものなのです。2000年には、「テラネット」という新しい信用情報センターが設立され、銀行系の無担保ローン会社に全情連の情報の一部を提供するようになりました。その一方で、カード会社関連の情報は、登録が任意でその内容も精度が低いために、貸金業者にとってはたいして価値のないものといえます。しかし、借りる側にとっては、これらの信用情報機関に蓄積されたデータは価値あるものです。

というのも、信用情報機関では、支払実績などのほかに、カードの限度額や氏名、住所、電話番号などの属性情報も蓄積しているからです。さらに、この信用情報機関では、利用者が自分の信用状況をチェックすることもできます(自分の身分証明書を持って、それぞれの機関の窓口に行けば確認できます)。まれに間違った情報が登録されているケースもあるので、「身に覚えがないのに、いつもカードの審査に落ちてしまう」という人は、自分の情報がどのように登録されているのかを確認してみるとよいでしょう。そんなトラブルを抱えていない人でも、「信用の健康診断」がてら一度出向いてみるのもいいのではないでしょうか。

自分の情報がどう扱われているのか、そして正しい情報が登録されているかなど、定期的にチェックをすることをおすすめします。また、CICでは新しいサービスとして、クレジットカードを紛失した場合に、問い合わせれば自分のカード番号などを教えてくれる「連絡代行サービス」を始めています。紛失、盗難だけでなく、引っ越しなどにも便利に活用できます。今後、TICカードが本格的に普及してくれば、個人情報はますます重要な意味を持ってくるでしょう。そして、信用情報機関は個人情報の管理団体として、より広範な役割を果たすことになるでしょう。

従業員の借金と会社の対処法

社員が蒸発して業者が未払い給料・退職金を請求してきたときの会社の対策
結論からいうと、貸金業者からの未払い賃金等の請求は、会社は原則として全て拒絶しなければなりません。労働基準法二四条は、賃金は直接労働者本人に渡さなければならないという「直接払いの原則」を定めているからです。この規定は強行法規ですから、たとえ労働者本人の承諾があっても同条に反する支払いは無効です。また、退職金も労働の対価として支払われるものとして、「直接払いの原則」が適用されます(労働基準法一一条)。ただし、貸金業者が差押え・転付命令(業者に支払うようにという裁判所の命令)を得ている場合は、「直接払いの原則」の例外として、会社は差し押さえられた範囲で未払い給料や退職金を支払わなければなりません。

取立屋が会社に来て困っているときの会社の対策
取立屋が債務者の勤務先に行って債務者や同僚、会社などに迷惑を被らせることは、貸金業法二一条(貸金業者の債権の場合)および割賦販売法に関する経済産業省(旧通産省)通達(クレジット債権の場合)に違反します。また、取立により会社の業務が妨害されることになれば業務妨害罪(刑法二三三条、二三四条)が成立しますし、会社のほうで迷惑になるから帰ってくれと求めても帰らなければ不退去罪(刑法一三〇条)になります。これらの罪で取立屋を警察や検察庁に告訴でき、緊急の場合は一一〇番通報してください。監督行政庁に苦情申立するのも効果的です。それでも勤務先への取立が続くようなら、裁判所に対し取立禁止仮処分申請、損害を被った場合は不法行為による損害賠償請求もできます。

給料を差し押さえられたときの会社の対策
前にも述べましたが、給料が全部差し押さえられてしまうと普通のサラリーマンは生活ができません。そこで日常的な生活費として支出する部分については、民事執行法で差押えが禁止されています。その内容は、給料の手取り額の四分の三の額と政令で定められた額(現在三三万円)とを比べて、どちらか少ないほうが差押え禁止額というものです(民事執行法一五二条)。つまり、給料の手取り額が四四万円以上の場合は、差押え禁止額は三三万円となり、給料の手取り額が四四万円未満ならば、差押え禁止額はその四分の三となります。ただ、その金額では生活が非常に苦しい場合は、差押え禁止額の増額を裁判所に申し立てることができます(同法一五三条)。

手形小切手担保金融の悪質商法の手口

手形小切手担保金融の悪質商法の手口の実例(改正貸金業法施行前のケース)山梨県で材木店を営む荻村さん(仮名・63歳)は自宅に郵送されてきたダイレクトメールで知った貸金業者のFコーポレーションから小切手を担保に金を借りて約8ヵ月間に借入元本の約3倍の利息を支払わされるという被害に遭いました。

荻村さんがFコーポレーションのことを知ったのは同社から自宅宛に郵送されてきたダイレクトメールの広告を見てのことでした。荻村さんは山梨の山の中からわざわざ上京し、東京の神田にあるFコーポレーションの事務所を訪ね、自社振出の額面260万円の小切手を担保に差し入れて170万円を借入れたのです。

この借入れの支払いについては2週間ごとに40万円の利息を相手方が指定する銀行口座に振り込むという約束で、実際、荻村さんは第1回目に34万円、2回目に40万円、3回目に40万円、4回目に88万円、5回目に30万円、合計232万円を支払いました。

5回目の支払いを終えてから1週間後に、さらに68万円を借用し、その2週間後に6回目の支払いとして25万円、その4日後に7回目の支払いとして40万円、その後2週間ごとに8回目の支払いとして30万円、9回目の支払いとして40万円、10回目の支払いとして48万円、11回目の支払いとして44万円、12回目の支払いとして30万円、13回目の支払いとして28万円、合計285万円を支払いました。

その後は相手方の指示により、銀行振込ではなく郵便局からの電信為替で送金することになり、同じく2週間ごとに、14回目の支払いとして31万円、15回目の支払いとして18万円、16回目の支払いとして22万円、17回目の支払いとして15万円、18回目の支払いとして19万円、合計105万円を支払いました。

結局、荻村さんはFコーポレーションから170万円と68万円の合計238万円を借入れ、約8ヵ月の間に18回にわたって合計622万円を利息として支払わされたことになります。これは出資法が定める現在の刑罰金利の年率20%をはるかに超える高金利で、処罰の対象となります。

支払督促や訴訟による債権回収と対処法

支払督促を活用した業者の債権回収
支払督促とは、裁判所からの債務者に対していくらの金額を払えという手続きのことです。訴訟をする場合と違って、債権者の一方的な意見だけを聞いて行われるため、訴訟のように時間がかからず、また費用も安いので業者がよく使う法的手段といえます。この通知が来てから債務者が返済をせずに二週間経過すると債権者の申立てにより、裁判所で仮執行宣言が付され、債権者は債務者の家財道具や給料に強制執行できるようになります。

債務者としては、金額に不満であれば通知が来てから二週間以内に異議申立をする必要があります。異議申立は、支払督促を出した簡易裁判所に書面または口頭で不服があることを申し出ればよく、不服理由までは述べる必要はありません。こうした異議申立があったときは、通常の民事訴訟に移行することになります。

民事訴訟を活用した業者の債権回収
債権者側からすれば貸した金を返せという論理は当然のことであり、貸金返還請求訴訟を起こすことが考えられます。民事訴訟を起こしたら、裁判所から呼出状が送られてくるはずです。呼出状と同封されている訴状には原告(訴えた人)の名前、請求の趣旨、請求の原因等が書かれています。『請求の趣旨』欄には、債務者が請求される金額が書かれていますし、『請求の原因』欄には、債権者から借金した日や金額、弁済した日などが書かれています。

もし、この『請求の趣旨』や『請求の原因』などの訴状の記載に偽りや不明な点がある場合には、呼出状に書かれている期日に出頭して、債権者の主張について争う必要があります。しかし、債権者の請求が正当であれば債務者側は不利です。債権者は勝訴すれば判決により債務者のめぼしい財産について差押えをしてくることが考えられます。

取立での違法な要求は拒否できる

白紙委任状と印鑑証明書の要求
支払が滞ったりした場合に、業者から白紙委任状と印鑑証明書を要求されても、絶対に応じる必要はありません。また、契約の際に要求する業者があれば、このような業者からは絶対に借りないことです。こうした業者の行為は貸金業法に違反します。というのは、業者がなぜ白紙委任状と印鑑証明書を要求するかというと、不動産に抵当権を設定したり、公正証書を作成するためと思われるからです。公正証書が作成されれば、裁判をしないで直ちに強制執行をして、給料・家財道具などを差し押さえることが可能になるからです。

また、白紙委任状に業者が勝手に自分に都合のよい事項を記入して、借主に著しく不利な内容の公正証書を作成するおそれがあり、借主が思わぬ不利益を被ることにもなります。このような事態を避けるために、貸金業法や割賦販売法に関する経済産業省(旧通産省)通達では、業者が委任状を取得することを制限しており、違反した場合には行政処分や罰則が科せられます(貸金業法二〇条)。返済が滞ったためクレジットカードを担保に要求されたとき債務者の返済が滞ったとき、クレジットカードを担保に取る悪質業者もいたようです。

しかし、クレジットカードを担保に金銭を貸し付ける行為は、割賦販売法で禁止されています。割賦販売法三七条・五〇条は、「業として、証票等を譲受け、または資金の融通に関して証票等の提供を受けた者は一年以下の懲役または一〇〇〇万円以下の罰金に処す」と規定しているからです。また、返済が滞ったときクレジットカードを使用して返済に充てさせることは、貸金業法二一条六項にも違反することになります。もし、すでに担保としてクレジットカードを業者に渡しているのであれば、直ちに警察か検察庁に相談して処罰を求めるとともに、監督行政庁(金融庁・各地の財務局か都道府県貸金業指導係)に申し立て、クレジットカードを取り戻すようにしてください。

貸金業者から借金をする際に生活保護受給カードを担保に要求されたとき
貸付をする際に生活保護受給カードを担保に取ることは、法律で禁止されています(生活保護法五九条)。国民年金や労災保険年金などの年金を担保にすることも禁止されています。もし、生活保護受給カードを担保にとられているのであれば、生活保護受給カードを担保に取ることは違法ですから、業者にカードの返還を請求できます。ただ、このような違法な貸付をする業者は性質が悪いことが多く、一人で返還を求めることは危険ですので、監督行政庁(金融庁・各地の財務局か都道府県貸金業指導係)に相談したほうがよいでしょう。

クレジットカードを利用した「買取屋」の手口

買取屋の手口の実例(改正貸金業法・割賦販売法施行前のケース)
中山さん(仮名・地方公務員・四一歳)は、新聞の折り込みチラシ広告の「七・五%で融資する」というのを見て、半信半疑ながらTクレジットに電話をしました。電話に出た男に確認すると、「間違いなく七・五%で貸しますよ。すぐに店まで来てください」と言われました。事務所を訪ねると小林(仮名)と名乗る社員が応対し、細かく身上調査を受けました。その後、小林氏は、「これから正式の審査をさせてもらいます。」と言って奥に引っ込み、一〇分か一五分経った頃に出てきて、「ちょっと借入れが多すぎます。少なくともあと四~五〇万円ほど減らしてもらわないと。一件完済して、身軽にしないと無理ですね」と言われました。

中山さんが、「そんなお金、持っていませんよ」と言うと、小林氏は、「実はよい方法があります」と言い、クレジットカードで品物を買い、それを換金するという方法を教えました。その後、女性に案内されて電気店へ連れて行かれました。中山さんが店先で迷っていると、案内役の女性が携帯電話で事務所に連絡をとりました。そして受話器を手渡され、中山氏が電話口に出ると「なに迷ってんだよ。公務員がサラ金から金を借りていいのか?グズグズしてるんなら、ブラックリストに載せてクレジットカードを使えなくしてやってもいいんだぞ!」などと小林氏から脅しをかけるようなことを言われ、仕方なく相手方のいいなりになりました。

案内役の女性は、「電子手帳を買う」とか言っていましたが、何を買ったのか教えてくれず、同店の店員から伝票のようなものを渡されて、それに何やら商品名を書き込んでいるようでした。その後、その伝票を店員に渡し、引換券のようなものをもらっていました。結局、中山さんが所持していた三枚のクレジットカードを利用して、それぞれ五〇万円、三〇万円、一〇万円の合計九〇万円の買物をし、中山さんは、その場で五二万円を現金で手渡されました。その足で中山さんは、借入先の『Dファイナンス』へ行って、同店からの借入分五〇万円を完済。Tクレジットの事務所へ戻り担当の小林氏に『Dファイナンス』からもらった領収書を見せて、「融資の方をよろしくお願いします」と言いましたが、「さっき、買物をしないとかグズグズ言っていたので、そこで最初に書いてもらった借入申込書は破棄してしまった」とうそぶくのです。

「話が違う」と言って抗議しましたが、「じゃあ、もう一度申込みをしてくれ。ただし、最初に言っていたような条件で貸せるかどうかわからない」と言われました。そこで、再度借入申込書を書いて相手方に渡し、「返事はいつもらえますか?」と聞くと、「明後日にでも電話をしてくれ」という話でした。約束の二日後に、『Tクレジット』 へ電話をすると、「担当の小林は今外出中でおりません」と言われました。その後、何度電話しても同じ対応で、担当の小林氏に取り次いでくれず、融資の話はうやむやにされてしまいました。

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